Leica Elmar 105mm f/6.3 コードワードの変遷(1932–1936)

1932年:開発段階

1932年5月の欧州向けカタログ(List Photo No. 7210)では製作中である旨の注記を付して「Light weight Distance Lens “Elmar” F/6.3, 10.5 cm. focus, with mount for automatic coupling, in construction」と表記されている。コードワードはElzenkupである。同年6月の米国向けカタログでは「LEITZ Anastigmat ELMAR, 105mm focus, F:6.3 (light telephoto lens) in focusing mount」と表記されている。コードワードはELZENKUP、コードナンバーは35084である。価格は43.00ドルであった。欧州向けでは特長を「Light weight Distance Lens」と表しているのに対し、米国向けカタログでは「light telephoto lens」と表現している。国・地域によって表現の差があることが確認できる。

1933年:用途と仕様の明示

1933年6月のドイツ語カタログ(Liste Photo Nr. 7325.)では「„ELMAR“ 10,5 cm 1 : 6,3 Fernobjektiv für die Landschaftsphotographie ; ein leichtes und bequem unterzubringendes Objektiv für die Touristik und den Alpinismus.」と表記されており、日本語では「風景写真のための望遠レンズ。軽量で携行しやすく、旅行および登山のためのレンズである」といった内容である。コードワードはElzenkup、価格は90RM(ライヒスマルク)である。Elzenkupは通常仕様(ニッケル仕上げ)であり、別にVerchromt(クローム仕上げ)が用意されている。クローム仕上げのコードワードはElzenchrom、価格は91RMである。

1934年:クローム仕上げの標準化

1934年12月のドイツ語カタログ(Liste Photo Nr. 7325 b.)では「„ELMAR“ 10,5 cm 1 : 6,3 Fernobjektiv für die Landschaftsphotographie; ein leichtes und bequem unterzubringendes Objektiv für die Touristik und den Alpinismus. Skala verchromt.」と表記されている。1933年6月のドイツ語カタログ(Liste Photo Nr. 7325.)と同じ内容であるが、文末に「(距離および絞りの)目盛りはクローム仕上げ」が追加されている。コードワードはElzen、価格は90RMである。当レンズの標準仕様がクローム仕上げとなっていることが確認できる。

1936年:供給終了

カタログ上で最後にElmar 105mm f/6,3の掲載が確認できるのは、1936年8月の欧州向けカタログ(List Photo 3K en.)および同年同月のドイツ語カタログ(Liste Photo 4 K d.)である。欧州向けカタログでは「Leitz “Elmar” F/6.3, 10.5 cm. Long-focus lens for landscape photography; a specially light and convenient lens for touring and mountaineering. Chromium plated scale ; image angle 24° ; weight 8 1/2 ozs. ; relative magnification as compared with the standard lens, × 2.1」と、レンズの仕様および用途に加え、画角や重量などの具体的な数値も記述されている。価格は10ポンド3シリングである。なお、ドイツ語カタログでは価格欄に「Wird nicht mehr geliefert.」と記載されている。これは供給終了(直訳は「もはや供給されない」)を示す表現であり、国や地域による販売政策の差がうかがえる。